中国輸入でかかる費用の一つに関税があります。
この勘定をおろそかにしてしまうと、利益計算も正確にできず、最悪の場合仕入れた商品が赤字になってしまいます。
そういうことのないように、本記事では中国輸入で関税に関して知っておくべきことを説明します。
通関の際にかかる費用
通関の際にかかる費用には、
- 関税
- 消費税
- 通関手数料
の3つがあります。
関税だけでなく、消費税と通関手数料もかかるので、これも考慮に入れる必要があります。
関税
関税とは輸入品にかけられる税金のことです。
外国の商品から国内の商品を守るためにあります。
輸入をする際には(無税の場合を除いては)必ずかかるので、これを考慮して利益計算などをする必要があります。
関税率は、商品の種類によって違います。
関税については複雑なので、後で詳しく説明します。
消費税
消費税は輸入をする際には関税と共に消費税もかかります。
消費税は現行の法律に従い、8% (国税 6.3% + 地方税 1.7%)です。
厳密には、消費税国税分6.3%分を求めた後、100円未満を切り捨てた後に17/63をかけたものが地方消費税(100円未満切り捨て)で、それらを足し合わせたものが消費税となるのですが、8%として計算しても誤差はほとんどないので8%と覚えておいてよいでしょう。
また、アルコール類を輸入する際にはこれとは別に酒税がかかります。
通関手数料
輸入をする際には、通関手数料がかかります。
DHLやFedExなどを利用して輸入する際には、これらの会社が通関手続きを代行してくれ、それに対してかかる費用が通関手数料です。
※通関手数料は税金ではありません。
各運送会社の通関手数料は下記のとおりです。
運送会社 | 通関手数料 |
EMS | 内容品の価格が20万円以下の場合、1梱包200円。200,000円を超える場合、品目数 2 つまでは6,600円/件、品目数6つまでは9,300 円/件、品目数7つ以上は12,000 円/件。 |
FedEx | 500円または、関税・消費税の2%のどちらか高い方。 |
UPS | 540円または、関税・消費税の2%のどちらか高い方。 |
DHL | 関税・消費税の立替金の合計額が700円以下の場合は無料。700円以上の場合は、立替合計額の2%、もしくは1,000円のいずれか高い方(外税)。 |
流通王 | 関税・消費税の合計が、12,000円未満の場合は600円、12,000円以上の場合は関税・消費税の合計の5%(外税) |
ただし、税関検査などがあった際などには余分に請求される場合がありますが、基本的には関税や消費税の額に比べれば費用は小さいです。
関税の計算方法
関税・消費税の計算
通関にかかる費用 = 関税 + 消費税 + 通関手数料 です。
また、一般的な商品の通関の際にかかる関税・消費税はそれぞれ、
関税 = CIF価格 × 関税率
消費税 = ( CIF価格 + 関税) × 消費税率 (8%)
で表すことができます。
関税と消費税はそれぞれ100円未満を切り捨てします。
CIFとは、「Cost(商品価格)」、「Insurance(保険料)」、「Freight(運賃)」のことで、この3つを合計したものがCIF価格です。
CIF価格は1000円未満を切り捨てして計算します。
通関にかかる費用の計算例
例えば、CIF価格が1,234,567円、関税率が3%、消費税率が8%、通関手数料が3,000円の場合、
まずは、CIF価格の1000円未満を切り捨て、1,234,000円となります。
関税 = CIF価格 (1,234,000円) × 関税率(0.03)
より、37,020円の100円未満を切り捨て、関税額は37,000円
消費税 = {CIF価格 (1,234,000円) + 関税 (37,000円)}× 消費税率 (0.08)
より、101,680円の100円未満を切り捨て、101,600円
(より厳密には、国税分6.3%分を求めた後100円未満を切り捨てし、それに17/63を掛けた値を100円未満切り捨てしたものが地方消費税となり、それらを足し合わせたものが消費税となりますが、計算結果は同じです。)
通関にかかる費用 = 関税 (37,000円) + 消費税 (101,600円) + 通関手数料(3,000円)
より、通関にかかる費用は合計141,600円ということになります。
簡易関税率
関税には、CIF価格が総額20万円以下の際に適応される簡易関税率と、それ以上の時に適応される一般関税率があります。
一般の関税率を適用する場合、数千もの品目分類の中から税率を適用することになりますが、この簡易税率を適用する場合、その品目分類を大別した6区分及びアルコール飲料の区分において税率を確定します。ただし、この簡易税率の規定は、携帯品及び別送品、関税が無税または免税になるもの、我が国の産業への影響を考慮し簡易税率を適用することが適当でないとされている物品には適用されません。
普通は簡易関税率を適応する方が関税率は低くて済みますが、輸入者が希望する場合は一般関税率を適応することもできます。
以下が簡易関税率表および簡易関税率が適応されない品目表です。
一般関税率
CIF価格が20万円を超える場合には、一般関税率が適応されます。
一般関税率は簡易関税率と違って複雑です。
関税の種類
一般関税率には、
- 基本税率
- 暫定税率
- 協定税率
- 特恵税率
があり、基本的には下から順番に優先されます。
それぞれの説明は以下にまとめました。
基本税率 | 基本的に適応される税率。 |
暫定税率 | 国内産業事情などの観点から一時的に適用される税率。 |
協定税率 | WTO協定税率とEPA税率の2種類がある。WTO協定税率は、WTO加盟国を原産地とする貨物に対し適応される税率。便益関税受益国及び二国間協定により最恵国待遇を認めている国に対しても適用される。EPA税率は、日本と特定の国との間で結ばれた経済連携協定(EPA)で定められている税率。当該国を原産地とする貨物については、関税が削減・撤廃される。 |
特恵税率 | 一般特恵税率とLDC特恵税率の2種類がある。一般特恵税率は、開発途上国で、特恵関税の供与を希望する国のうち、わが国が当該供与を適当と認めた国(特恵受益国)を原産地とする輸入貨物に対して適用される税率。LDC特恵税率は、後発開発途上国(LDC)を原産地とする輸入貨物に対して適用される税率であり、税率は全て無税。 |
中国はWTO加盟国なので、WTO協定税率が適応されます。
課税標準について
関税の計算方法のところで、「関税 = CIF価格 × 関税率」と説明しましたが、厳密には、「関税 = 課税標準 × 関税率」で計算でき、関税がCIF価格以外を課税標準に計算される品目があります。
この課税標準は3種類あります。
- 従価税
- 従量税
- 混合税
従価税
従価税は、一般的な課税標準で、ほとんどの商品に対して適応されます。
先に説明した通り、CIF価格を課税標準に対して適応し、「関税 = CIF価格 × 関税率」で求めることができます。
従量税
重量税は、輸入品の個数、容積、重量などの数量を基準として関税を課すものです。
標準課税が個数、容積、重量などで、関税率はそれぞれに合ったものが適応されます。
例えば、2018年4月1日現在、ビールは1Lあたり6.4円なので、1000L仕入れる場合は、6,400円の関税がかかります。
混合税
従価税と従量税を組み合わせたものを混合税といい、選択税と複合税とがあります。
選択税は、輸入品に対して従価税と従量税の両方を定め、そのうちいずれか税額の高い方(一部の品目については低い方)を課すものです。現在、毛織物、卵黄、魚油などに適応されています。
複合税とは、輸入品に対して従価税と従量税の両方を定め、従価税と従量税の両方を課すものです。現在、一部の乳製品について適用されています。
関税率の調べ方
輸入統計品目表より調べる
輸入統計品目表(実行関税率表)より、自分が輸入したい品目の税率を調べることができます。
一番最新の実効税率表を選択し、自分が調べたい分類の「税率」へと進みます。
中国から輸入する場合はWTO協定税率が適応されるので、下の商品の場合は関税率が5.3%となります。
税関に問い合わせる
輸出入通関手続や税番・税率等に関するお問い合わせより、輸入する際に利用する場所の税関に問い合わせることによって、より正確に関税率を調べることができます。
税関は怖いというイメージがありますが、問い合わせると丁寧に教えてくれます。
このような公的機関を使うことを遠慮してしまう人は多いですが、国の期間なので積極的に使うようにしましょう。
まとめ
本記事では、通関の際にかかる費用とその計算方法について説明しました。
まとめると、以下のようになります。
- 輸入をする際には、関税、消費税、通関手数料がかかる。
- 消費税は現行の法律に従い8%
- 通関手数料は利用する運送会社によって異なる
- 通関にかかる費用 = 関税 + 消費税 + 通関手数料
- 関税 = CIF価格 × 関税率
- 消費税 = ( CIF価格 + 関税 ) × 消費税率 (8%)
- CIF価格とは「Cost(商品価格)」+「Insurance(保険料)」+「Freight(運賃)」の総額
- CIF価格が20万円以下の場合は簡易関税率が適応される
- CIF価格が20万円を超える場合は、中国がWTO加盟国なので主にWTO協定税率が適応される
- 関税率を知るためには輸入統計品目表から調べるか、税関に問い合わせる
本記事を参考に関税などの計算をきちんとしてから仕入れ判断をするようにしてください。