中国輸入OEMで利益率を計算する方法

中国輸入OEMで仕入れ判断をする際には、あらかじめ利益計算をする必要があります。

仕入れ価格が販売価格より相当安く利益が出そうだったから仕入れてみたけど、予想以上に関税や国際送料が掛かってしまいほとんど利益が出なかった、というような失敗はありがちですが、そのような失敗がないように1つ1つ丁寧に確認しておくべきです。

本記事では、中国輸入OEMでかかる費用を1項目ずつ確認し、正確な利益計算をする方法を説明します。

利益計算に必要な項目

利益計算に使用する項目は大きく分けて以下の3つです。

  1. 販売価格
  2. 仕入れ値
  3. 販売手数料

これらの項目を一つ一つ見ていきます。

①販売価格

販売価格は、Amazonで販売する際の価格で、自分で決めることができます。

販売する価格によって、利益、販売個数などが変化するので、色々変えてみながら総合的に考えて一番適切な値段を決定していくようにしてください。

②仕入れ値

仕入れ値は以下の項目から成ります。

  • 商品代金
  • 加工費用
  • 代行手数料
  • 国内配送料(中国、日本)
  • 国際配送料
  • 関税・消費税・通関手数料
  • その他

仕入れ値を計算する際には、これらの項目を全て1商品当たりの値段に換算してから足し合わせるようにしてください。

商品代金

説明不要ですが、まずは中国から仕入れるときの商品の代金がかかります。

中国の工場などから購入する際の費用は全てここに入れてしまってよいでしょう。

加工費用

商品を加工する代金も仕入れ値に含まれます。

別の工場でパッケージを製作する場合や日本で説明書を作成する場合なども加工費用に含めます。

代行手数料

商品の仕入れ、OEM、発送、検品などの代行をしてくれる業者を使った場合は、代行手数料がかかります。

代行手数料は業者によってさまざまなので、必ず確認してから依頼するようにしてください。

国内配送料(中国、日本)

中国の工場から通関施設への配送料、または輸入してからFBAに納品するまで国内送料も仕入れ値に勘定してしまって構いません。

工場からFBAに直接納品する場合はこれらの配送料はかかりません。

国際配送料

船便や航空便の送料も仕入れ値に含めます。

配送料は運送業者や代行会社との契約によりさまざまなので、自分の条件に合った業者を使用するようにしてください。

一般的に、配送料は実重量と容積重量の重い方で計算されます。

容積重量(kg)=縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)÷(5000または6000) (㎤/kg)です。

ここが5000か6000かだけでも結構違うので、よく確認してから比較検討するようにしましょう。

関税・消費税・通関手数料

輸入をする際には、関税・消費税・通関手数料がかかります。

関税は商品によって異なるので、仕入れ判断をする際に必ず確認するようにしてください。

通関の際にかかる諸費用については以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。

【完全版】中国輸入の関税に関して知っておくべきことの全て

その他

計算上は利益が出ているのにあまりお金が増えないというようなことがないように、仕入れにかかる諸費用は、できるだけ仕入れ値の項目に入れてしまった方がいいです。

例えば、商品に貼り付けるバーコード代など、商品1つ当たりに勘定できるものは仕入れ値に入れて計算したほうがいいです。

逆に、商品写真撮影の費用などは、追加で何度も仕入れをする場合、商品1つ当たりに換算することは難しいので、こちらに含めるべきではないです。

③販売手数料

商品を販売する際には、販売手数料がかかります。

販売手数料もあらかじめ考えて利益計算する必要があります。

販売手数料は以下の3項目です。

  • Amazon販売手数料
  • FBA手数料
  • FBA在庫保管手数料

これらの3項目を全て足し合わせたものが販売手数料です。

Amazon販売手数料

Amazonで商品が売れた際には、Amazon販売手数料がかかります。

これはカテゴリごとに定められています。

カテゴリごとの販売手数料は以下の表を参考にしてください。

Amazon出品サービスの手数料より引用

FBA手数料

FBAを利用している際にかかる費用です。

こちらも商品が売れるごとにかかります。

FBA手数料については以下の表を参考にしてください。(簡単な計算方法は後述します。)

FBAの料金プランより引用

FBA在庫保管手数料

FBAに商品を納品していると、FBA在庫保管手数料がかかります。

これは、上記の計算式で求めることができます。

また、月額基準金額は下の表のとおりです。

月額基準金額 1ー9月 7.8円
10ー12月 9.0円

例えば、4月に30日間、4.0×15.0×20.0 cm³の商品を保管する場合は、

7.8(円) × {(4.0 × 15.0 × 22.0) (cm³)/ (10 × 10 × 10) (cm³)} × {30(日) /30(日)} = 10.296(円)

と計算することができます。

仕入れ前に概算する際、1年中販売する予定の商品については、月額基準価格を「8.1」(12か月分の平均)とし、保管日数を「仕入れ頻度÷2」として計算するとよいでしょう。

仕入れ頻度÷2とする理由は、例えば2か月に1回仕入れをする商品は、平均在庫滞留期間が1か月と半分になるからです。

販売手数料を簡単に計算する方法

FBAシミュレーターを使うことによって、より簡単に販売手数料を計算することができます。

トップページより、ASINを入力した後、「商品代金」の項目に販売価格を入力します。

Amazon販売手数料は「出品手数料」の項目を、FBA手数料は、「発送代行手数料」の項目を、FBA在庫保管手数料は、「月額保管手数料」の項目を確認することで即座に計算できます。

ただし月額保管手数料は、1カ月分のものなので、仕入れ頻度が1か月のときは先述の理由で「2で割る」必要があります。そこまで大きくない商品については誤差は出にくいですが、大きい商品の場合は特に注意が必要です。

利益計算

これらの項目を使って、利益計算をします。

他の条件にもよりますが、利益率が30%を超えている場合は仕入れをしてもよいでしょう。

例として、以下の商品の利益を計算してみます。

  • 販売予定価格:2,000円
  • 為替レート:16.5(円/元)
  • 商品代金:30元(加工費用含む)
  • 仕入れ個数:1000個
  • 代行手数料:商品代金の3%
  • 国内配送料(中国、日本):FBA直送のため0円
  • 国際配送料:16元/kg、重量と容積重量の重いほうで計算
  • 容積重量:縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)÷5000 (㎤/kg)
  • 関税率:3%
  • 通関手数料:関税・消費税の合計の2%
  • 商品のジャンル:シューズ&バッグ
  • 商品の重さ・サイズ:300g、7.0×15.0×20.0(㎤)(パッケージ含む)
  • 仕入れ頻度:2か月ごと

STEP① 販売価格を計算

販売価格:計算するまでもなく2,000円ですね。

STEP② 仕入れ値を計算

為替レートについて、為替リスクのためにここでは、為替レート+1.0(円/元)として計算します。

商品代金

商品代金:30(元) × (16.5+1.0) (円/元) × 1000 = 525,000(円)

代行手数料

代行手数料:525,000(円) × 0.03 = 15,750(円)

国際配送料

商品の重さは300g、サイズは7.0×15.0×20.0 ㎤ですが、商品を完全に敷き詰めることはできませんし、ダンボールや梱包材の重さや体積があるので、それぞれ10%増やして計算します。

重量:0.3(kg) × 1.1 = 0.33(kg)

容積重量:7.0 × 15.0 × 20.0 /5000 × 1.1 = 0.462(kg)

容積重量の方が重いので、こちらで計算します。従って、

国際配送料:16(元/kg) × (16.5+1.0) (円/元) × 0.462(kg)  × 1000(個) = 129,360(円)

関税・消費税・通関手数料

関税は商品代金だけではなく、代行手数料や配送料に対してもかかります。

それらの合計は、CIF価格といいます。

CIF価格:525,000(円) + 15,750(円) + 129,360(円) = 655,000(円)(1000円未満切り捨て)

関税:655,000(円)×0.03 =  19,600(円)(100円未満切り捨て)

消費税はCIF価格だけでなく、関税に対してもかかります。

消費税:{655,000(円) + 19,600(円)} × 0.08 = 53,900(円) (100円未満切り捨て)

代行手数料:{19,600(円) + 53,900(円) } × 0.02 = 1,110(円)

関税・消費税・通関手数料の合計:19,600(円) + 53,900(円) + 1,110(円) = 74,610(円)

仕入れ値

仕入れ値:655,000(円) + 74,610(円) = 729,610(円)

仕入れ値(1商品当たり):729,610(円) /1000 = 729.61(円)

STEP③ 販売手数料を計算

Amazon販売手数料

シューズ&バッグのカテゴリなので、手数料は15%です。

Amazon販売手数料:2,000(円) × 0.15 = 300(円)

FBA手数料

FBA手数料:標準サイズなので、手数料は360(円)

FBA在庫保管手数料

FBA在庫保管手数料:7.8(円) × {(7.0 × 15.0 × 20.0) (cm³)/ (10 × 10 × 10) (cm³)} × {30(日) /30(日)} = 16.38(円)

販売手数料

販売手数料:300(円) + 360(円) + 16.38(円) = 676.38(円)

STEP④ 粗利益を計算

粗利益:2,000(円) – 729.61(円) -676.38(円) = 594.01(円)

STEP⑤ 利益率を計算

利益率:594.01(円) /2,000(円) = 29.7%

適当に値を設定しましたが、ちょうど仕入れるかどうかのギリギリぐらいのラインになりました。

2000円というのが、低く見積もった価格なら十分に仕入れてよいと思います。

まとめ

本記事では、中国輸入OEMでかかる費用と、利益計算の方法を説明しました。

利益や利益率をあらかじめ概算しておくことは非常に大事なので、正確に計算するようにしてください。

本記事が利益計算をする際に役に立てば幸いです。