輸出入をする際に必ずしなければならないこととして通関があります。
通関とは税関を通過することですが、初心者にとってはなんだか難しそう、というイメージがあると思います。税関で荷物を止められる、ということもよく聞きますし怖そうですよね。
実際ややこしい部分もあるのですが、本記事で詳しく説明していくのでご安心ください。
通関とは
通関とは輸出入をする際に、税関に貨物の種類、数量、値段などの情報を税関に申告し、荷物の検査を受けた後に関税を支払い、輸出入の許可を受けるという貿易上の手続きのことです。
関税については以下の記事で詳しく説明しているので、参考にしてください。
税関への申告は個人でも行うことができるのですが、手続きが複雑かつ専門的な知識が必要なので、専門の業者に委託したほうがいいです。普通は輸出入する際に利用する運送業者にこの業務を代行してもらうことになります。
通関の流れ
通関は輸入申告から輸入許可までの間の工程のことです。上図のように、通関の際に輸入者が行うべきなのは輸入申告と関税などの納付です。それぞれについて詳しく見ていきます。
輸入申告
輸入者は輸入申告書を税関に提出して輸入申告をする必要があります。
また、輸入申告書と同時に納税申告書も提出し、納税申告を行います。
審査
税関が提出された申告書の審査を行います。ここで問題ない場合は次のステップに移ります。
検査
実際の貨物が申請されたものと違わないか、輸入禁止のものなどは含まれていないかなどを税関が調べます。
提出したリストと相違がある場合は税関からペナルティを受けてしまうこともあります。軽い気持ちで嘘の申告をしてしまうと大変なことになるので、必ず正確な情報を届け出るようにしてください。
関税などの納付
検査により問題がなかった場合は、関税・商品税などの納付を行います。
輸入許可
関税・消費税の納付を行うと税関から輸入許可証が交付されます。
これにより輸入が許可され、通関の工程がすべて終わります。
輸入のための必要書類
税関への申告へは自分でも行えますが、初心者、上級者にかかわらずここは通関業者に任せた方がいいです。
通関業者に提出する書類は基本的には、
- インボイス(Invoice)
- パッキングリスト(Packing list)
- 船積依頼書(Shipping Instructions、S/I)
の3つです。
取引先やパートナー、代行業者などが用意してくれるケースも多いですが、何かあった時のために自分で知っておくことも重要です。
それぞれについて詳しく見ていきます。
インボイス(Invoice)
インボイスとは、輸出者から輸入者への請求書のことです。
具体的には、
- 輸出者の情報(社名、住所など)
- 輸入者の情報(社名、住所など)
- インボイスナンバー
- 作成日付
- 支払い条件
- 船積港
- 仕向港
- 商品の詳細(商品名、数量、単価、総仕入れ値)
- 合計数量、合計金額
- サイン
などが必要になります。
パッキングリスト(Packing list)
パッキングリストは、どの貨物がどのようにどのように梱包されているかの梱包状態を記載した書類です。
具体的には、
- 輸出者の情報(社名、住所など)
- 輸入者の情報(社名、住所など)
- インボイスナンバー
- 作成日付
- 船積港
- 仕向港
- 商品の詳細(商品名、数量)
- シッピングマーク
- Case No.
- カートン数
- 商品の入り数
- ネットウェイト
- グロスウェイト
- メジャー(容積)
- サイン
が必要になります。
以下、用語の説明をします。
シッピングマーク
航空便や船便の混載便の場合、荷物が他の人のものと混ざって分からなくなってしまう危険があります。
このようなことを防ぐため、ダンボールに輸入者情報を記載したマークをつけておきます。これをシッピングマークといいます。
ネットウェイト
貨物だけの正味の重量。
グロスウェイト
貨物に加え、梱包材やダンボールを含んだ全体の重量。
船積依頼書(Shipping Instructions、S/I)
船積依頼書は、通関業者が船荷証券(Bill of Lading: B/L)、航空運送状(Air Waybill: AWB)を作成するために必要な書類です。
具体的には、
- 輸出者の情報(社名、住所など)
- 輸入者の情報(社名、住所など)
- インボイスナンバー
- 作成日付
- 着荷通知先
- 船積港
- 仕向港
- 船会社または航空会社名
- 運賃はどちらが支払うか
- 商品の詳細(商品名、数量、単価、総仕入れ値)
- 合計数量、合計金額
- サイン
- が必要になります。
まとめ
本記事では、通関の流れと通関に必要な書類をまとめました。
通関に必要な書類もほとんど自分で用意する必要はなく、通関は難しいことではないです。
通関業者を介して通関している限りは、ほとんどのトラブルはだいたい対処してもらえるのでそんなに心配する必要はありません。
ここに書いてあることをある程度理解していれば通関に関して困ることはほとんどないと思います。
ただし、関税についてはやや複雑なので、以下の記事を読んで理解するようにしてください。