中国輸入OEMを始めるにあたり、どのような費用がかかるのか、最終的にどれくらいの資金が必要なのかを把握しておくことは非常に重要なことです。
初心者の方は、何にどれくらいのお金が必要で、結局全体でどれくらいかかるの?ということを知っておきたいとお思いでしょう。
そのため、本記事では、中国輸入ビジネスを行う際にかかる費用を項目ごとに全て記載し、結局はこれくらいかかるというシミュレーションをしてみたいと思います。
結果だけ見たい方は、最後の「結論」の項目だけご覧ください。
中国輸入ビジネスで費用がかかる項目
中国輸入ビジネスでかかる費用は、大きく分けて以下の5つの項目に分かれます。
- Amazon関連
- 仕入れ
- 確定申告の際にかかる税金
- 画像制作
- ブランド立ち上げ
Amazon関連
Amazonに支払う料金が、費用の大部分を占めます。
登録料
Amazonの大口出品者の月額登録料は、5,292円です。
商品が売れようと売れなかろうこの費用は必ずかかります。
成約手数料
Amazonの販売手数料は、売上金と販売カテゴリーに応じて決まります。
カテゴリー毎の販売手数料については以下の表のとおりです。
Amazon出品サービスの手数料より引用
FBA手数料
FBAを利用する際には、FBA手数料がかかります。商品サイズによってFBA手数料は異なります。詳しくは以下の表にまとめたのでご覧ください。
在庫保管手数料
FBAを利用する場合、Amazonの倉庫に商品を預けることになりますが、その際に在庫保管手数料がかかります。その計算式は以下のようになっています。
月額基準金額 | 1ー9月 | 7.8円 |
10ー12月 | 9.0円 |
長期保管手数料
在庫一掃チェック実施日 | フルフィルメントセンターに365日を超えて保管されている商品 |
---|---|
月1回(毎月15日) | 17.45円(1000cm3あたり)もしくは1商品あたり10円の大きい方 |
在庫保管手数料と長期保管手数料は重複します。365日を超えて保管されている商品については、在庫保管手数料と長期保管手数料の両方がかかるのでお気を付けください。
在庫保管手数料および次の項目の長期保管手数料については、以下の記事でまとめましたので、参考にしてください。
広告
Amazonで販売する際には、スポンサープロダクトなどの広告費がかかります。スポンサープロダクトの場合は、クリック数×クリック単価で広告費用がかかります。
仕入れ
中国から商品を仕入れる際に、商品代金などの仕入れ資金がかかります。
商品代金
まずは商品代金です。中国で作るとこの商品代金自体は非常に安く済むのですが、他にも色々と費用がかかります。
付属品
化粧箱やマニュアルなどを作る際には、商品代金とは別に費用がかかります。
代行手数料
中国の工場と取引をする際には、中国語が話せないほとんどの人は、代行会社か現地パートナーを使うことになりますが、その際に代行手数料がかかります。
代行会社の場合は、月間の使用料+商品代金の〇%というように設定されているケースがほとんどです。
現地パートナーの場合は、自分とパートナーの同意で自由に決められます。商品代金の〇%という風にしてもいいですし、取引額が大きい場合には月額固定としてもいいでしょう。
現地パートナーのメリットや募集・採用の方法については以下の記事にまとめたので、参考にしてください。
配送料(国内、国際)
中国から日本に運ぶ国際配送料と、工場→港、港→倉庫の国内送料がかかります。配送料は基本的には容積によって決まっているので、軽くても大きい商品の場合は配送料が高くなります。
関税
商品を海外から輸入する際には関税がかかります。
関税率は商品の種類によって異なっています。関税についての詳しい説明や、商品の種類ごとの関税率の調べ方などについては以下の記事を参考にしてください。
また気を付けないといけないのが、関税は商品代金だけではなく、代行費用と配送料にもかかります。
それらの合計はCIF価格といいますが、このCIF価格に対して関税率をかけて計算しなければいけないということを覚えておいてください。
関税 = CIF価格 × 関税率
消費税
通関の際には、関税に加えて消費税もかかります。
これも気を付けないといけないのが、消費税は関税に対してもかかります。つまり消費税はCIF価格と関税額の合計に消費税率をかけて計算します。
消費税 = ( CIF価格 + 関税) × 消費税率 (8%)
通関手数料
通関の際には、通関の手続きを行ってくれた業者に対して、通関手数料を支払う必要があります。
通関手数料は税金ではなく、通関業者に対する手数料で、各会社によって定められています。
運送会社 | 通関手数料 |
EMS | 内容品の価格が20万円以下の場合、1梱包200円。200,000円を超える場合、品目数 2 つまでは6,600円/件、品目数6つまでは9,300 円/件、品目数7つ以上は12,000 円/件。 |
FedEx | 500円または、関税・消費税の2%のどちらか高い方。 |
UPS | 540円または、関税・消費税の2%のどちらか高い方。 |
DHL | 関税・消費税の立替金の合計額が700円以下の場合は無料。700円以上の場合は、立替合計額の2%、もしくは1,000円のいずれか高い方(外税)。 |
流通王 | 関税・消費税の合計が、12,000円未満の場合は600円、12,000円以上の場合は関税・消費税の合計の5%(外税) |
サンプル
制作する工場を選定する際には、サンプルを取る必要がありますが、これが意外とバカになりません。
商材にもよりますが、3000円~5000円くらいかかるので、複数の工場に依頼すると結構な費用になります。
確定申告の際にかかる税金
確定申告の際には、法人であれば法人税、個人であれば個人事業税などの税金がかかります。
また、売上が年間1000万円を超えてから2年後(会社の場合は2事業年度後)には売上額に応じて消費税を支払う必要があります。
画像制作
商品ページなどで使う画像を製作するためにはお金がかかります。
まずは画像を撮影する業者に依頼して撮影してもらいます。そして、デザイナーなどに依頼して商品画像を製作していきます。
1商材でだいたい30,000円~100,000円くらいです。
ブランド立ち上げ
ブランドを立ち上げる際にもある程度の費用がかかります。
ロゴの作成
ロゴの作成は自分でやってもいいですが、私のように芸術の才能が皆無の人は才能がある人に任せておいた方がいいでしょう。(作る才能はなくてもいいですが、見極めるセンスは身につける必要があります。)
ロゴの作成は、クラウドワークスなどのコンペで作るといいです。10,000~20,000円くらいでデザインのロゴが見つかります。
ロゴ制作の詳しい方法については、以下の記事を参考にしてください。
商標登録
商標登録をするためにもお金がかかります。
オンラインで行う場合は電子証明書の手数料が2,500円、郵送の場合は電子化手数料1,900円+配送料がかかります。
そして、出願料が3,400円+(区分数)×8,600円で、商標登録料が、1区分28,200円(10年)か16,400円(5年)です。
商標登録の方法や詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。
ブランドページ
Amazonで買うお客様の中には、ちゃんとしたブランドなのかを調べるために、ネットで検索する人もいます。その時に、ちゃんとしたブランドページがあるかないかで印象が全然違います。
ドメイン取得+サーバー代で年間10,000~20,000円程度です。テンプレートは無料のもので大丈夫です。
中国輸入ビジネスに必要な資金のシミュレーション
ビジネスと言うものは、出ていくお金があれば入っていくお金もあります。しかし、スタートアップの段階では入ってくるお金はほとんどなく、出ていくお金ばかりなので、ある程度の資金が必要になります。
ある程度商品が売れ、売上金が入ってくるようになるまでに出ていくお金を準備しておく必要があります。つまり、キャッシュフロー(手元に残る資金)が一番少なくなる時でも、キャッシュフローがマイナスにならない必要があるということです。
今回のシミュレーションでは、キャッシュフローベースでいくらの資金が必要なのかというのを調べていきたいと思います。
シミュレーションの前提条件は以下の通りです。
- 商品企画を終了し、どのような商品を作るか決めた段階をスタートとする
- 売上金が入ってくるのは便宜上、スタートから2か月後とし、その段階での必要な資金を考える
- 為替レート:16.5(円/元)
- 為替リスクのため、為替レート+1.0(円/元)として計算
- 2000円で販売して、月間500個売れると想定
Amazon関連
・登録料
→売上金から引かれるので、登録するタイミングを調整することでキャッシュフローに影響なし
ただし、いろいろ勉強するために事前に登録する場合は5,292円(今回はこちらを採用)
・成約手数料
→売上金から引かれるのでキャッシュフローに影響なし
・FBA手数料
→売上金から引かれるのでキャッシュフローに影響なし
・在庫保管手数料
→売上金から引かれるのでキャッシュフローに影響なし
・長期保管手数料
→なし
・広告
→売上金から引かれるのでキャッシュフローに影響なし
Amazon関連費用は主に売上金から引かれるので、キャッシュフローにはほとんど影響がありません。Amazon関連でかかるお金は5,292円です。
仕入れ
・商品代金
→1個当たり30元(付属品など含む)とします。
→仕入れの初めの段階では売れる量の予測と外れることがあるのと、
値下げ&広告でたくさん売る必要があるので多めに2カ月分仕入れをします。
商品代金:30(元) × (16.5+1.0) (円/元) × 1000 = 525,000(円)
・代行手数料
→商品代金の3%とします。
代行手数料:525,000(円) × 0.03 = 15,750(円)
・配送料(国内、国外)
→商品の重さは300g、サイズは7.0×15.0×20.0 ㎤とします。
→容積重量は縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)÷5000 (㎤/kg)とします。
→国際配送料は16元/kg、重量と容積重量の重いほうで計算します。
→商品を完全に敷き詰めることはできませんし、ダンボールや梱包材の重さや体積があるので、
それぞれ10%増やして計算します。
重量:0.3(kg) × 1.1 = 0.33(kg)
容積重量:7.0 × 15.0 × 20.0 /5000 × 1.1 = 0.462(kg)
容積重量の方が重いので、こちらで計算します。従って、
国際配送料:16(元/kg) × (16.5+1.0) (円/元) × 0.462(kg) × 1000(個) = 129,360(円)
・関税
→関税率は3%とします。
CIF価格:525,000(円) + 15,750(円) + 129,360(円) = 655,000(円)(1000円未満切り捨て)
関税:655,000(円)×0.03 = 19,600(円)(100円未満切り捨て)
・消費税
→消費税率は、現行の8%とします。
消費税:{655,000(円) + 19,600(円)} × 0.08 = 53,900(円) (100円未満切り捨て)
・通関手数料
→通関手数料は2%とします。
代行手数料:{19,600(円) + 53,900(円) } × 0.02 = 1,110(円)
・サンプル代
→1工場当たり3,000円、10工場にサンプルを依頼するとします。
サンプル代:3,000(円) × 10 = 30,000(円)
以上より、仕入れ値は合計759,610(円)となります。
ちなみに、以前に下の記事で利益計算をした時に使ったときと同じ数字を使っています。
この時の計算で、利益率は約30%、月間の利益額は約30万円となりました。これくらいの利益を出すためにはこれくらいの資金が必要になるという参考にしてください。
確定申告の際にかかる税金
これらは全てしばらく経ってから必要になる費用ですので、2か月という期間でのキャッシュフローを計算する上では考慮しません。
画像制作
1商材当たり、50,000円とします。
ブランド立ち上げ
・ロゴの作成
→コンペ形式で作成し、20,000円とします。
・商標登録
→1区分、5年で出願するとします。
商標登録:2500(円) +{3,400(円) + 8,600(円) × 1 } + 16,400(円) × 1 = 30,900(円)
・ブランドページ
→売上金が入って余裕が出てから制作することにします
結論
以上を合計すると、865,802(円)が必要だということが分かります。
1か月で30万円の利益が欲しいならこれくらいの資金は必要だということです。勿論、これより少なくても商品を作ることはできますが、売上は小さくなってしまいますし、選べる商材の幅もせまくなってしまいます。
商標登録やロゴの作成などの1度行えば(しばらく)費用がかからない項目があるので、次に商品を作る際にはこれより安く済みます。
中国輸入OEMを行うのには、最低50万円、できれば100万円の資金が必要だといえます。
これから中国輸入OEMに参入する方は是非参考にしてみてください。